SKETCH BOOK
そう考えただけで嫌気がさす。
パパは優しいからいいんだけど、橙輝が余計だ。
パパだけならあたしは、
喜んで母の再婚を応援しただろう。
まさか橙輝っていうおまけがついてくるとは。
どうせならもっと
かっこいいイケメンが良かったなぁ。
「梓ちゃんも一緒にやろう。
橙輝、教えてあげなさい」
「なんで俺が」
「兄妹だろ。教えてあげなさい」
「……自分でやればいいのに」
ぶつぶつ文句を言う橙輝が、
あたしに近付いてきた。
「ちょっと、何さ」
「持ち方が変だ。こうするんだよ」
後ろから橙輝の手が伸びてくる。
意外と温かいその温もりにびっくりして、力が抜けた。
ヘナヘナと座り込むと、橙輝に怒られた。
「なんで力抜けてんだよ!」
「だ、だってあんたが……」
「俺がなんだって?」
「……なんでもないです」
「ほら、立てよ。こう持つんだ」