SKETCH BOOK
あたしの気持ちはどこにある?
✻
目を開けると、傍に橙輝がいた。
体を起こすと、それはあたしの部屋だった。
「起きたのか」
「う、うん。ありがとう」
差し出された水を受け取って口に含むと、
少しすっきりした。
泣き疲れた目が少し重たい。
橙輝はどうしてここに?
そう目で問うと、橙輝は言いにくそうに頭をかいて、
あたしに背を向けた。
「その、なんだ。
謝ってなかったなと思って」
「謝る?」
「この間のこと」
「あっ……」
思い出してパッと顔が火照る。
あのことか……。
思い出さないようにしていたのに、
まさか話を切り出されるとは思っていなかった。
あの時のことが鮮明に思い出されると、
胸が疼いた。
「べ、別に。気にしてないし……」
「軽率だった。ごめんな」
「う、うん」
あたしが頷くと、橙輝は
あたしの方を振り返った。
目と目が合うと、
やっぱり恥ずかしい。
自分の気持ちに気付いたから、尚更だ。
「あんな話して、困らせたよな」
「えっ?そんなことないよ!」
「そうか?でも、重い話とか嫌いそうに見えた」
「むしろ話してくれて
良かったというかなんというか……」
「麻美はさ、似てるんだ。お前に」
「えっ?」