SKETCH BOOK
橙輝の絵を見た感じ、
似てるようには思えなかったんだけど。
目を丸くしていると、橙輝の手が頬に触れた。
「笑い方とか、話し方とか、すっげぇ似てる」
ああ、性格の話か。
似てるのかな?
こんなあたしが麻美さんに?
橙輝の好きな人に似ていると
言われただけで少し嬉しい。
緩む頬を必死で堪えて、
あたしは頷いて見せた。
「へぇ、そうなんだぁ」
「ほら、その顔とか」
「えっ」
あたし今、どんな顔してるの?
自分じゃよく分からない。
頬を触ってみると、橙輝は笑った。
「なにやってんだ。今間抜けな顔してたぞ」
「な、間抜けって……!」
「うそうそ。冗談だよ」
橙輝って、冗談とか言うタイプに見えない。
でもこういう一面を見ると、本当に
同じ高校生なんだって思える。
いつもはどこか大人びていて、
少し気後れするから。