SKETCH BOOK
「で、どこ行く?」
「え?スーパーじゃないの?」
「開くのにまだ時間かかるだろ」
「えー、じゃ、なんで早く出てきたの?」
「お前と遊ぼうと思って」
「あ、あそ……遊ぶ?」
「ああ。嫌か?」
「い、や……全然そんなことはないけど」
「どっか行きたいとこ、ないの?」
平然とした顔でそう言った
橙輝の言葉に頭が回らなくなる。
うーんと考えに考えていると、
橙輝は笑い出した。
「な、何がおかしいのさ!」
「いや、なんか面白くて。
お前ほんとに麻美によく似てるよ」
似ていても、嬉しくなんかない。
だって、似ているだけであたしは
麻美さんではないから。
チクリと胸の奥が痛む。
頬を膨らませてそっぽを向くと、
あたしの頭に橙輝の手が乗った。