SKETCH BOOK
「な、なによ」
面白くない。
「どうした?」
面白くない。
「姉とか妹とか」
「なに?」
面白くない。
「あんた、おかしいんじゃないの?
家族とどうこうなんてなれるわけないじゃない」
「えっ?」
面白くないのよ。
「馬鹿なんじゃないの?」
やめろ!
「橙輝のせいで周りが傷つくのよ!」
しんと、静まり返った。
橙輝がブランコをこぐのをやめて、
地面に足をついた。
そのうちブランコは止まって、
時間が止まったかのように静寂に包まれる。
「……馬鹿で結構」
橙輝は、怒ってる。
当たり前だ。
あたしが、酷いことを
言ってしまったんだって、分かってる。
分かってるけど、でも。
やめられなかった。