SKETCH BOOK



「ご、ごめんなさい」


「おいおい、痛ぇだろ。
 何してくれてんの?」


「ていうか、小さいねえ。高校生?」


「こんな時間に女の子が一人で、
 何してんの?お兄さんたちと遊ぼうか?」


「い、いやです。放して……」



ぐっと力を入れて押しのけるけれど、
その力はとても微力で。


その瞬間恐怖を感じた。


三人の男はちょっとだけ酔っているのか、
電柱の光越しに見える顔は


ほんのり赤みを帯びていて、
足元もちょっとだけおぼつかない様子だった。


一番背の高い男があたしの腕を掴んだ。



「細いねぇ、君」



ゾクリとして気持ち悪い。


やっぱりお酒を飲んでいるのか、
吐き出された息は少しアルコールの臭いがした。


その臭いにむせ返るようにせき込むと、
更にアルコールの臭いが襲ってくる。


もう一度引っ張られた時、
ああ、もう駄目だと思った。


これからどうなってしまうんだろう。


やっぱり言ってから出てくればよかった。


そうしたら帰りが遅いと
探しに来てくれたかもしれない。


朝まで気づかれなかったらどうしよう。


目に涙が浮かんできた時、
それは鈍い痛みとともにやってきた。




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