海風
アイスキャンディ
いつも通り暑い夏休みある日、部屋の中の暑さと汗をソーダ味のアイスキャンディを食べる事で誤魔化す。
溶けきる前に食べ終わったアイスキャンディの棒を齧りながら、私は自分の部屋で時間を潰す様にベッドに寝転がりながらゲームを開く。
どうしても気だるさが混じるのは夏特有の暑さ故か。
そうして夕方を待つ。
夕方の時間帯が一番涼しく、体調も崩しにくいからだ。
夕方が来たら、外に出て何をしようか。
気晴らしに運動場に行くのも悪くないと思う。
今日の天気は曇り。
それに気付いたのは、カーテンの開かれた窓から見た空の雲があまりにも分厚かったからだ。
きっと湿っぽい暑さは残るだろうけど、風もあるみたいだから昼間よりはマシかな。
最近の天気予報は外れている。
部屋のクーラーを付けるのも悪くないのかもしれないけど、気温の激しい変化は体調も崩しやすくなるって聞くから、扇風機に留めてクーラーは付けないでおこう。
そうして夕方が来た頃。
風もあるみたいだけど、家の中でも暑いものは暑いのだ。
だから外に運動でもしようかな……そう思って部屋から出て、階段を降りて玄関の扉を開く。
あぁ、やっぱり。
扉を開けたら待ってるなんて……
凪は、いつも気がついたら目の前に居る。
幼なじみだし、家も近所だから今はもう慣れて、あまり驚かないけど……
「水乃ちゃん、今日は何します?」
「別に、何もしないわよ」
「えー、つまらなくないですか?
どこか行きましょうよ」
「嫌よ、面倒くさい」
「なら明日はどうですか?」
「明日も何もしないわよ」
「なら……
ここ最近は凪の口説き以外と言えばこういった会話ばかりだ。
凪はどこかに行きたいのだろうか。
最近口説いてるし、まさか私と一緒にどこか行きたいとか言うのかしら。