海風



          好きな物



 一応元気になったので例え太陽のせいで暑かろうと外へ出る。
 あぁ、今日も今日とて暑い。
 そう思って部屋からリビングまで行くと、今日はお父さんが居る日だったのかソファに座っていた。



「水乃、暇ならアイス買って来てくれないか」
「暇じゃないけど、帰りで良ければ買ってくるわ」
「頼んだ」



 そんなやり取りの後、私は家を出ていつも通りに運動場に行った。
 良かった、今日は空いてた。
 耳にイヤホンを付けて私の大好きな音楽をかけて一通り準備運動の後に走り込みをして、壁を相手にラケットでボールを打つ。
 それを繰り返してる内に夕方になった。
 頼まれてたアイスでも買ってこようか。
 ついでにコンビニで涼もう。
 そう思ってイヤホンを取ると、声が聞こえた。



「水乃ちゃん、好きな食べ物はありますか?
 良ければ……
「特にない」



 凪だった。
 私はそれを即答して返す。



「僕はオムライスが好きなんです!
 今度一緒に……
「興味ない」



 私は今日も凪の言葉に辛辣に返す。
 どのくらいこうしていれば凪は諦めるだろうか。
 毎日の様にふらりと現れては気が付いたら消えている凪はいつだって飽きる様子も応えた様子もなく私に声をかけてくる。
 あ、コンビニ着いた。
 はぁ、涼しい。
 でもここでの長居はアイスの到着を今か今かと待ってるお父さんに申し訳ないわね。
 ……早く帰ろう。


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