あなたの命、課金しますか?


寿命を奪い取る?


それは【殺す】ということか?


そんなことできるわけがない。


でも、しなければ私は死ぬ。


カチカチカチ。


時計の針だけが進む。


「おはよう。渚」


今朝もご機嫌な優衣が、三鷹くんと一緒に教室に入ってくる。


2人で登校してきたのだろうか?


三鷹くんと手を繋ぐのは、この私だったのに__。


いや、今はそんなことより、寿命が先だ。


課命どころの話じゃない。


でも私が生き延びるには、誰かを傷つけないといけない。


そんなこと私にできるのか?


「裕也、帰りも一緒に帰ろうね」


「おう」


三鷹くんの腕を掴んで離さない優衣に、私は気づけば声を掛けていた。


「優衣、こっち向いてー‼︎」


スマホを構える。


「なによー?」と言いつつ、1番、可愛く見える角度を仕上げてくる。


カメラのシャッターを押した。


「見せて見せて」


「こ、これは可愛く加工するアプリだから。ちゃんと仕上げてから見せるよ」


なんとか言い訳をし、その場から離れる。


こっそりスマホを動かし【桂木優衣】と登録をした。


すると、私だけだったマイページに、優衣のキャラが現れた。


「なんか渚が可愛く写真を撮ってくれるって‼︎」


優衣の言葉に、みんながやってくる。


その勢いに押されるかたちで、私はいくつものキャラを手に入れたんだ。






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