あなたの命、課金しますか?


優衣は目を覚ますだろう。


そうしたら、私が犯人だとバレてしまう。


優衣に見られてはいないが、タイミング的に私だと思うはず。


寿命は首の皮一枚つながったが、それでもたったの10日間だけ。


すでにカウントダウンが始まったといってもいい。


その時にまた、誰かを傷つけないと私は生き延びることができないんだ。


それも中途半端じゃダメ。


相手の寿命、すなわち【命】そのものを奪い取らないことには__。


「渚‼︎優衣が目を覚ましたって!」


眠れぬまま朝を迎えた私に、美奈が最後通告を突きつけてきた。


このまま逃げる?


でも何処へ?


なにも決断できぬまま、みんなと病院に行くことになった。


「渚、大丈夫?」


美奈だけでなく、朋美も心配そうに顔を覗き込んでくる。


それほど私は、青白い顔をしているのだろう。


「あんまり眠れなかったもんね」


「でも美奈、勝手に足を滑らせたんだろう?」


三鷹くんの言葉に美奈は「うーん」と唸りながら、私を見た。


もしかしたら__美奈はもう優衣から聞いている?


私が突き飛ばしたのだと。


今にも逃げ出したいが、三鷹くんが病室の扉を開けた。


優衣が、ベッドの上にいる。


その目を、真っ直ぐ私に向けながら。


「私、突き落とされたんだ__こいつに」


真っ直ぐ腕を上げ、その指が私に突き刺さる__。






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