あなたの命、課金しますか?


足首を捻挫した優衣は、しばらく学校を休んだ。


「朋美に突き落とされたの‼︎」


病室の中で、そうはっきり名指しをした。


もちろん朋美は否定したが、痛々しく巻かれた包帯が優衣に加勢をする。


泣き喚いて興奮する病人には、敵いっこない。


私たちはその場を後にしたが、変な空気は消えることはなかった。


一体、どうしてあんなことを言ったのか?


あんなウソを。


けれど私は、すぐその理由を知ることになる。


「おはよう」


しばらく休んだ後、松葉杖をついた優衣が登校してきた。


苦労して席につくと、周りを取り囲まれる。


まるでヒロインだ。


しかしその輪の中に、朋美は含まれていない。


【朋美が優衣を突き飛ばして怪我をさせた】


クラス中に知れ渡るのに時間はかからなかった。


いくら朋美が認めなくても、怪我をさせられた当人が言っているんだ。それがウソだと知っている私を除き、誰もが朋美を敬遠し出した。


カーストの位置関係が変わったんだ。


松葉杖をティアラのようにデコる優衣が、怪我を利用してトップに躍り出た。


これが優衣の狙い。


真実を知っているのは、突き飛ばした私だけ。


そう思っていたのに。


そうじゃなかった__。



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