あなたの命、課金しますか?
桃子だった。
「あ、ごめん。私なんかが、邪魔しちゃった」
図書館から出て行こうとする、かつての親友を呼び止めた。
よくよく考えたら、2人でいつも図書館に来ていた。
ここなら、誰も居ないから。
私たち【ブス】を馬鹿にする声は届かないから。
「私の顔、なにかついてる?」
そう言われ、ずっと桃子の顔を見つめていたのに気づいた。
「なんでもない。ごめん」
「私で良かったら、話きくよ?話したくなかったらいいけど」
今にも消え入りそうな声だった。
きっと、勇気を振り絞って言っている。
今の桃子にとって、私は雲の上の存在だから__。
「三鷹くんのことなんだけどね」
誰にも言えなかった【弱み】を、桃子の前でさらけ出した。
私の話が終わるまで、ジッと耳を傾ける。
「__なんでもかんでも疑っちゃう自分が嫌なの」
「そっか。三鷹くん、カッコいいからね。でも、同じ付き合うならカッコいい人のほうがいいよね」
「うん。ずっと付き合いたかったから」
「それなら、信じるしかないよ。疑うのは簡単で、信じることは難しいけど。三鷹くんのことも、そんな三鷹くんを好きな葉月さんの気持ちも信じるの」
「私の__気持ち?」
「なーんて、恋愛経験0の私が言うセリフじゃないけど」
桃子が笑った。
つられて私も笑う。
「なんだか、懐かしい感じがする」
ボソッと呟いた桃子の言葉が、しばらく私の頭から離れなかった__。