あなたの命、課金しますか?


私はいつも、1人で登校する。


本当は彼氏と手を繋いで学校に行きたかったが、裕也には部活がある。


サッカー部のキャプテンとして、チームを引っ張る責任があると、胸を張っていた。


ボールを追っている裕也を見るのが、私はなにより好きだったのに__。


「おはよう、渚」


身支度をして家を出ると、裕也が待っていた。


「あれ?サッカー部の朝練は?」


「ああ、辞めたんだ」


「えっ⁉︎」


「だって、渚と一緒に居られないだろ?」


さも当然という感じ。


「でも裕也、サッカーが大好きだって言ってたじゃない?」


「なに言ってんだよ。俺が1番好きなのは渚だろ?」


「それは嬉しいけど__」


「ほら、行こうぜ‼︎」


手を引っ張られて、初めて2人で登校することに。


いくら周知の仲とはいえ、朝から恥ずかしい気がしないでもない。


そんな私の気持ちもお構いなしに、肩を抱き寄せたり、頬を撫でたりと、まるで別人だった。


「なに照れてんだよ?俺のこと嫌い?」


「ううん、好きだよ。大好き」


「俺も。一生、離さない」


校門の前で、熱くハグをされる。


私たちの仲を見せつけるように。


これで誰も、裕也にちょっかいを出さないだろう。


私にぞっこんなのだから。



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