あなたの命、課金しますか?
スマホを手に、しばらく固まっていた。
なにか急用だろうか?それならすぐにでも掛け直さないといけないのに、なぜかそうは思えない。
どうしようか迷っていると、スマホが鳴った。
誰からか確認しなくても分かる。
「__もしもし、裕也?なにかあったの?」
「それはこっちのセリフだよ‼︎電話に出ないで何やってたんだよ⁉︎」
耳に飛び込んできたのは、激しい怒りの声だった。
「何って、お風呂に入ってて」
「それじゃ入る前にメールしてくるのが常識だろ‼︎」
「ごめん」
勢いに押されて、謝罪が口をついた。
そんな常識、聞いたことがないけど?とは言えない。
「俺は心配したんだ、なにか事故に遭ったんじゃないかって。そう考えたらもう、どうにかなりそうで」
「ごめん。これからはちゃんとメールするから」
「約束だからな?」
「うん、わかった」
とりあえず、その場はそれでおさまったけれど、気を抜くとすぐに裕也から、電話かメールがくる。
少しでも返信が遅れると、詰問してくるんだ。
【一体、何をしているんだ?】と。
過度の愛情表現なのだが、だんだんそれが窮屈に思うようになってくる。
それでも裕也の束縛は、締め付けが厳しくなるばかり。
私の首を絞めるかのように__。