あなたの命、課金しますか?
「熱が下がらない」
どうやら裕也の風邪は、長引くらしい。
足繁くお見舞いに通うも、風邪が移るからと門前払いされている。
そんな時は、どこまでも私のことを思っていてくれる裕也に絆(ほだ)されるが、暇なのだろう、前より締め付けは厳しくなっている。
ただ、その場に居ないためか、メールが来ればすぐ返せばいいし、電話がかかってきたら取ればいいだけの話。
それが理科室で、南くんと過ごしていても同じだ。
「まさか、男と一緒じゃないだろうな⁉︎」
咳き込みながら私を詰問するが、弱っている裕也はさほど怖くない。
「私のこと、信用できないの?」なんて、いつもなら口が裂けても出てこない反抗的な言葉を投げつけて、さらっと追求をかわす。
そして今日も、理科室に足を運んだ。
「こないだ、PKで蹴ったやつがさぁ__」
南くんとの会話は、笑いが尽きない。
たぶん、意識して私を笑わそうとしてくれているのだろう。
そんな心遣いも、裕也とはまるっきり正反対で。
南くんに惹かれていく自分を、どうしても止めることができなかった。
「私__南くんと付き合えば良かった」
初めて、口にした。
ずっと思ってはいたけれど、言葉にしてしまうと何かが変わってしまいそうで。
とても大きく変わってしまいそうで__。