あなたの命、課金しますか?
__だめだ。
なにもない。
携帯を持っていることに気づいた時は、天にも昇る心地だったが、電波が通じない。
この地下室には、私と南くん、そして古びたクッションが1つあるだけだった。
少しでも楽になるよう、南くんの頭の下にクッションを置いた。
荒い息をしていたかと思うと、文字通り【虫の息】の時もある。
それが繰り返されるのを、私はただ見ていることしかできなかった。
「ごめんなさい。ごめんなさい」
何度も何度も謝りながら。
もちろん、食べ物も水すらない。
時間だけは分かるが、時が進めば進むだけ、南くんの命のロウソクは短くなっていく。
体は燃えるように熱いのに、寒くて震え上がっている体を抱き締める。
私にしがみついてくる南くんに寄り添ううち、私は眠ってしまった__。
扉が開く音がする。
__目を覚ますと、すぐそこで裕也が見下ろしている。
全くの無表情で、私を見下ろしていた。
「裕也、助けて‼︎」
今はもう、南くんは震えてもいない。
急速に体が冷えていた。まるで、死後硬直が始まったかのように。
「お前が代わりに死ぬことになるけど?」
「それでもいいから‼︎」
私が大声で答えると、裕也の顔つきがガラリと変わった。
私は知っている。
これは【悪意】が振りかざされる前兆だと。
深いため息をつくと、裕也が立ち上がって言った。