あなたの命、課金しますか?


顔を触った。


鏡がないため、自分の顔が分からない。


でも手探りで充分だ。


懐かしい見知った【顔】が、そこにある。


重たい瞼、筋のない鼻、うっすい唇と、その奥に並んだ不恰好な歯。エラは張っているし、なにより__。


出っ張ったお腹。


脇腹の肉はいくらでも掴むことができる。


典型的な【デブ】の胸はもちろん、ぺったんこ。


誰が見ても正真正銘な【ブス】として、私は目を覚ました。


こんな私と、付き合いたい男子なんて居ない。


ましてや三鷹裕也は学校1のイケメンだ。


カースト最上位の王子様。


案外、もう朋美とヨリを戻しているかもしれない。


私が生まれ変わった時点で、縁が切れていることだってあり得る。


私とすれ違っても、ゴミ屑を見るような視線を送ってくるだけかもしれない。


別れる別れないのゴタゴタすらないかも__。


それならそれで困ったな。


だって、じゃあ、誰がこの地下室に来る?使われていない別荘の、それも人が寄り付かない地下室に。


もう何日も飲まず食わずだ。


せっかく裕也と別れることができたのに、ここで餓死する?


そんな馬鹿な⁉︎


居ても立っても居られず、階段にのそのそと駆け寄った時、扉が開かれた。


灯りが、私を照らす。


ブサイクな私を__。



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