あなたの命、課金しますか?
「ブス、こっち見んなよ」
聞こえよがしな声で毒づくのは、柴田麻里恵。
ギャルの一大勢力である柴田さんグループは、朋美たち上層部が勢いを失ったことで、トップに上り詰めようとしている。
ただ、私から言わせてもらえば【華】がない。
桜庭朋美のような、そこに佇むだけで大輪の花が咲くような気品がない。
品位の欠片すらない。
見た目を派手に着飾ることと、大勢で群れることでしかのし上がれない集団だ。
「目が腐んだよ、見るなブス」
口汚く罵ってくる。
私と柴田さんは接点がなかった。
私がカーストを上り詰める途中で、わずかに通じ合ったくらいで、それは私にとっては通過点に過ぎない。
それが再び立場が入れ替わり、私なんて相手にしなくてもいいのに、気に入らないんだ。
私が裕也と付き合っていることが。
こんなブスが、あんなイケメンの彼女だということが信じられないのだろう。
私自身も解せないのだから仕方がない。
きっと、裕也と付き合いたいんだ。
好きとかじゃなく、朋美、優衣、そして綺麗だった私と、裕也を彼氏にすることはトップの証だから。
だから事あるごとに、柴田さんは私に絡む。
そしてそれがイジメに発展するのには、そう時間はかからなかった。