あなたの命、課金しますか?
イジメというものは、どこか秘密裏に行われるものなのに__。
「うわ、ブスがうつる‼︎」
廊下ですれ違いざま、柴田さんとその取り巻きが大袈裟に顔をしかめる。
「ブスはおとなしくゴリラと後尾しろよ‼︎」
教室内でもお構いなしだ。
ただ、裕也が居ない時に限ってのことだが。
「気にしなくていいよ」と桃子が励ますと__。
「ブス同士、なに慰め合ってんだよ‼︎きもっ!」
「ちょっと‼︎」
思わず私は立ち上がった。
「渚、ほっときなって。怒ったら負けだよ」
桃子に腕を引っ張られ、渋々、椅子に座った私を嫌らしく嘲笑う笑い声。
同じグループでも、京子たちは我関せずだ。
他のクラスメイトもそうだが、どこか仕方がないという流れがある。
こんなブスな私が裕也と付き合えるのだから、それくらいのやっかみは受けるべきだという、雰囲気。
唯一、桃子だけが親身に声を掛けてくれる。
だからこそ余計に、桃子が巻き込まれるのは許せない。
私はいい。
自分のことだけなら我慢できたが、大切な友達の陰口は聞き流すことができないんだ。
一度は捨てた【友達】だが。
でも、捨てたからこそ大切さが分かったのもある。
以前の私なら、陰口を囁かれたら貝になって心を閉ざしただけ。
それが今は、食ってかかろうとしている。
私は変わった。
心が、変わったんだ。