あなたの命、課金しますか?
柴田さんグループからのイジメは、ある意味とても分かりやすかった。
私物を隠される。
それは何処かに隠されるわけじゃない。
教科書も体操服も机も、2度と戻ってこないのだ。
最初のうちは、本はびりびりに破られ、体操服も切り刻んであったが、それすらも面倒くさくなったのか、ゴミ箱に突っ込んであるだけ。
靴にいたっては、毎回毎回、焼却炉で燃やされていた。
今では私は、私物を持ち歩いている。
廊下ですれ違う際には、足を掛けられるか体当たりされるか、不意に背中を突き飛ばされることもある。
これ見よがしのイジメは、とても攻撃的だった。
「渚、大丈夫?」
そういう時、桃子が1番に心配してくれる。
私は1人じゃない。
同じように、いや、それ以上に傷ついた様子で気遣ってくれる友達が側に居てくれることが、イジメに耐えられる力となっていた。
それでも__と、思うことはある。
もし私が綺麗なままだったら、ここまで目の敵にされただろうか?
いや実際、柴田さんから睨まれる程度で済んでいた。
こうまでして痛めつけられるのは、私が醜いから。
ブスだから、少しくらい痛めつけてもいいと、そう思っているに違いない。
けれど、私が数々の仕打ちに打ちのめされないことが分かった柴田さんは、やっと私から手を引いた。
その矛先が変わったんだ。