あなたの命、課金しますか?
実を言うと、ここ最近、体調が悪いからとやんわり裕也を避けていた。
ウソじゃない。
吐き気がするのは事実で、始めの頃は優しく背中をさすってくれていたのだが__。
「渚、大丈夫か?」
すぐドアの向こうで、私を気遣う声がする。
これで何度目だろう?
そろそろ裕也の、怒りの導火線に火がつかないか?
生理痛だとの言い訳も、通用しなくなってくるだろう。
それからしばらく呼吸を落ち着かせてから、トイレを出る。
目の前に、裕也が待ち構えていた。
「ごめんね」と私が謝る前に、裕也が尋ねてきた。
「そんなに、俺とキスするの嫌?」
「違う‼︎」
「じゃ、なに?」
「それは__」
「ほら答えられないじゃん。それが答えだよ」
と、腕を引っ張られる。
爪が容赦なく食い込み、力の強さが怒りの強さに直結しているのが分かった。
部屋に入るなり、肩を思い切り突き飛ばされ、ベッドに倒れこむ。
「裕也、お願い__やめて」
「やめねーし。彼氏とキスできないって、なに?」
「だからそれは__」
「それはなんだよ‼︎俺が、俺がこんなにお前のこと愛してるっていうのに、お前は‼︎」
拳を振り上げた裕也が、殴りかかってくる。
咄嗟に身を縮めながら、私は叫んだ。
つい、叫んだんだ。