あなたの命、課金しますか?
えっ⁉︎
裕也の顔から表情というものが、抜け落ちていく。
「俺、先生に言ったんだよ。お腹の中の赤ん坊は大丈夫ですか⁉︎先生、俺たちの赤ちゃんを助けてください‼︎ってさ。俺、涙まで流してお願いしたんだよね」
「裕也、あの__」
「でもさ、それって渚も知らなかったんだろ?」
「えっ?」
「渚も今、知ったんだろ?」
「わたしは、わたっ__」
言葉がノドにつかえて、呼吸ができなくなってきた。
できることなら、このまま再び気を失いたい。
次に目を覚ます保証はどこにもないが__。
「渚は妊娠しると思っていた。でもそうじゃないことを今、俺から聞いて初めて分かったんだろう?」
物覚えの悪い子に言い聞かせるよう、一字一句に力を込めて、裕也が私に問いただす。
そうあってほしいとの思いが、伝わってくる。
そうじゃないなら、そうじゃないなら滅茶苦茶になるから。
何もかもが。
だから私はすぐにでも、驚いた振りをして悲しんだ振りをして、裕也の同情を誘えばいいのにそれができない。
恐怖に支配されて、とてもじゃないがそんな猿芝居はできない。いや、演じる必要なんてなかった。
「今、俺から聞いて知ったから、泣いてるんだろ?」
「泣い、て__る?」
私は涙を流していた。
恐怖の涙を。