あなたの命、課金しますか?
「裕也、大丈夫?」
向かいに座る恋人を、私は心配する。
明らかに元気がないからだ。
それならそれで、私に降りかかる災難が少なくなるから放っておけばいい。むしろ、私にとっては喜ばしいことなのに、思わず声を掛けてしまうほど裕也は虚ろだった。
目の前のパスタを食べるでもなく、ただかき混ぜる。
心なしか顔色も悪く、痩せたようだが?
「どこか具合でも悪いの?ちゃんと食べてる?」
「ん?」と、そこで初めて気づいたようで、私が心配していることを伝えると、ようやく笑顔になった。
「俺のこと、心配してくれるんだ?」
「当たり前じゃない」
「ありがとう、渚」
ただお礼を言われただけなのに、驚いて言葉も出ない。
裕也が私にお礼を言った。
しかも、心から__。
常に私を見張り、威嚇し、力を誇示するのも集中力が必要だろう。今の裕也は完全に力を失い、ぼんやりしていることが多い。
私はまだ願い事を叶えてはいない。
裕也に消えてほしいと願ってはいるが、寿命のことがあるから迂闊に手を出せないんだ。
それなのに裕也の様子がおかしい。
アプリの影響じゃないのに、ますますおかしくなっていった。