あなたの命、課金しますか?


私は謝った。


友の寿命を奪い取って、自分だけ生き延びようとしていることに対しての謝罪__。


「渚?」


「桃子、今までごめんね」


「えっ?」


「とにかく、ごめんね」


そう言って、桃子の前に背を向けて膝をつく。


1度、捨ててしまったことを、私はずっと悔やんでいた。


同じ後悔はしたくない。


「乗って‼︎」


「でも渚、肩が?」


「いいから‼︎早く乗って‼︎」


「__うん」


桃子の重みが肩を撫でるだけで、とんでもない激痛が襲う。


「ああっ‼︎」と重みに潰されるように突っ伏したが、
ここで死ぬわけにはいかない。


私は死ぬ。数時間後に死ぬ運命だ。


でも桃子は、桃子だけは助けないと‼︎


どんな時でも、私の側に居てくれた大切な友達。


もたもたしていられない。チャンスは1度。


「桃子、いい?顔を伏せてて‼︎」


「渚」


「桃子、ごめんね。でも、ありがとう」


最後は謝るのではなく、お礼を言って終わりたい。


これが別れになるかもしれないからだ。


私が目を覚ますことはないだろう。


「私も__渚、ありがとう」


「うん」


涙が出てくる前に、私は駆け出した。


桃子を背負い、燃え盛る炎に向かって突っ込んでいく。


友を救うために。




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