あなたの命、課金しますか?
ここは、何処だろう?
地獄だろうか?
命と引き換えに自分を変えた【罰】として。
だからこんなにも、肩が痛いのだろうか?
記憶がない。
桃子を背負って、炎に飛び込んでいった途中から、記憶が途切れている。
でももう3時間は過ぎただろう。
私の寿命は過ぎ去ってしまった__。
「渚、目が覚めた?」
「__桃子?」
目の前に桃子の笑顔が見える。
その瞬間、涙が一筋、頬を伝う。
心から安心できる笑顔に、私自身が温もりに包まれるのと同時に、助けられなかった無念さと申し訳なさとが合わさって、胸が詰まる思いが__。
「良かった‼︎助かったんだよ、私たち助かったの!」
「えっ__?」
「渚が勇気を出して走ってくれたから」
「ホントに?」
「ホントだって‼︎」
松葉杖をついている桃子が、嬉しそうに飛び跳ねる。
病院なんだ。
あの火災から逃げ延びて、病院にいる。
それじゃ、寿命は?
「桃子、私のスマホ知らない?」
「落としたんじゃない?」
「そうかも」
これじゃ、確認のしようがない。
私の寿命があと何年か、分からない__。
「でも、京子はダメだったみたい。他にもたくさん、クラスメイトが火事に巻き込まれて、逃げ遅れて」
「うそ__誰?ねぇ、桃子、誰が逃げ遅れたの⁉︎」
「渚、ちょっと、落ち着いて」
「桃子‼︎誰か逃げ遅れたのよ!」