あなたの命、課金しますか?
首元から右頬にかけて、焼け爛れた跡が残った。
何度か皮膚移植の手術をしたが、完全には取りきれない。
しばらく学校を休んでもいいと周りは言ってくれたが、私はあえて通うことにした。
服で覆うことも、メイクで隠すこともしない。
これがきっと、私に与えられた【罰】なのだろう。
あれからアプリは動かしていない。
スマホそのものが焼けたため、機種変更をしてそのままだ。
もしかしたら、あの神アプリなら、この顔の傷を治すことができる【願い事】が出てくるかもしれない。
恐らく【寿命】もたくさんあるだろう。
他人から奪い取った寿命は、計り知れない。
好きなだけ【課命】して、思う存分、自分を変えることができる。
そして華やかなスクールライフを送ることができる。
けれど私は、そうしなかった。
もうアプリを開くことはない。
この顔の傷を抱えて、生きていく。
それに不思議と、誰も何も言わない。
興味本位な視線が突き刺さることもあるが、火事で亡くなったクラスメイトたちは、そういった視線すら感じることができないんだ。
本当なら、元の私に戻るべきだろう。
元の【ブス】な葉月渚に。
でも【ブス】は傷じゃない。
私はどうしても、自分を傷つけたかったんだ。
どうしても。