あなたの命、課金しますか?


「ちょっ、お、お、起きたぞ⁉︎」


若い男が目を見開いて仰け反った。


150歳で寝たきりの、私が体を起こしたことに驚いたのか?


「あぁあああ‼︎」


言葉が出ない。


思うように、言葉が出てこない。


「なにか言いたいんじゃない?おばあちゃん、何が言いたいの?」


大きな声で訊いてくる若い女は、どこか娘に似ている。


そんなに大きな声じゃなくても、聞こえているが。


言葉が出ないなら、伝える方法は__?


「携帯?携帯が見たいの?」


「あ、頷いた。なんか、書くジェスチャーしてないか?紙とペン持ってこいよ‼︎」


ふぅ、どうやら伝わったようだ。


ボールペンを持たされるが、握力は0。


何度もペンを取り落としては、ミミズがのたうち回るような文字が出来上がる。


「これって__英語じゃない?」


「最初がHか?ならHAPPYじゃないか?」


「次がSだから、SCHOOLって書いてない?」


「HAPPY SCHOOL?なんだそれ?」


「それを携帯で検索しろって言ってんじゃん‼︎また携帯を指差してるもん」


「わかった。探してみる」


やっと伝わった。


もうそれだけで力を使い果たし、再びベッドに横になるとすぐ、眠たくなった。


深い眠りにつく。



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