あなたの命、課金しますか?


それから授業にも身が入らず、桃子のお誘いも断って早々と家に帰った。


ずっとスマホと睨めっこをしている。


桃子の言うことは最もだ。


命に代えられるものなんて、この世にない。


罰当たりだといってもいい。


でも__。


私は【1kg】の重みを誰より知っている。


寿命と願い事のバランス。


もし、ほんの僅かな寿命で叶えることができるなら?


それなら、私は試してみたい。


たとえこの命が縮もうと__。


【課命をして下さい】


柔らかく握っていた拳を開き、人差し指を伸ばす。


爪先が画面に触れた。


はたして【1kg】の価値は、寿命に換算するとどれくらいなのだろう?


朝昼晩と絶食したなら【1日】で減らすことができる。


自力で1日だ。


かかっても3日だろう。


3日くらいなら良いんじゃないか?


私の寿命があとどれくらいか分からないが、日本女性の平均寿命は【80年】だ。


そう計算すると、まだ65年もある。


そのうちの3日くらいなら、いいんじゃないか?


それくらいなら、くれてやる。


【1kg痩せる】


私は力強くクリックした。


その横に、数字が現れた。





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