あなたの命、課金しますか?
「渚、食べないの?」
「うん、ちょっとね」
「またダイエット?」
桃子がそう訊いてきた。
【また】という言葉が引っかかったが、曖昧に笑って誤魔化しておく。
桃子は顔は不細工だが、さほど太ってはいない。
一方、私は少しばかり【ぽっちゃり】している。
いや、まあ、あの__そこそこぽっちゃりだ。
「豚がエサ食わねーってよ」
どこからか、からかう男子の声が聞こえてきた。
そう、私は【デブ】だ。
身長155㎝。
体重78kg。
ちょっとばかり成長期が長いらしい。だからダイエットは永遠のテーマでもあった。
チラリと、桜庭さんを盗み見る。
棒みたいな手足をしていた。
ペキッと折れてもいいから、私もああなりたい。
私なんか、見つめる資格もないけれど、桜庭さんと友達になることを想像するだけで、胸がドキドキした。
「私もダイエット付き合ってあげる‼︎」
「いいよ、無理しなくても」
「友達だもん‼︎」
桃子はそうやっていつも【友達】と口する。
そうしないと関係が消えるみたいに。
そして私はそんな桃子を見て、カーストの最下層に居ることを思い知る。
つまりは、冴えない学校生活だった。