あなたの命、課金しますか?


「渚、食べないの?」


「うん、ちょっとね」


「またダイエット?」


桃子がそう訊いてきた。


【また】という言葉が引っかかったが、曖昧に笑って誤魔化しておく。


桃子は顔は不細工だが、さほど太ってはいない。


一方、私は少しばかり【ぽっちゃり】している。


いや、まあ、あの__そこそこぽっちゃりだ。


「豚がエサ食わねーってよ」


どこからか、からかう男子の声が聞こえてきた。


そう、私は【デブ】だ。


身長155㎝。


体重78kg。


ちょっとばかり成長期が長いらしい。だからダイエットは永遠のテーマでもあった。


チラリと、桜庭さんを盗み見る。


棒みたいな手足をしていた。


ペキッと折れてもいいから、私もああなりたい。


私なんか、見つめる資格もないけれど、桜庭さんと友達になることを想像するだけで、胸がドキドキした。


「私もダイエット付き合ってあげる‼︎」


「いいよ、無理しなくても」


「友達だもん‼︎」


桃子はそうやっていつも【友達】と口する。


そうしないと関係が消えるみたいに。


そして私はそんな桃子を見て、カーストの最下層に居ることを思い知る。


つまりは、冴えない学校生活だった。







< 5 / 279 >

この作品をシェア

pagetop