あなたの命、課金しますか?
それからも、私は井沢さんグループとして過ごした。
もう途中から、伊達眼鏡を外して。
私が二重瞼になっていることを、訝しむ人は誰もいない。
そして桃子は相変わらず、私を気にしている素振りもない。
だから1つの結論に達したんだ。
私は【HAPPY SCHOOL】のアプリを使って痩せた。
1kg、5kg、5kgと。
この時点では、さほど劇的な変化がないため、私の周りはなにも変わらなかった。
けれど【目を二重まぶたにする】という願い事を叶えた時、目に見えて私は変わったに違いない。
それに伴って、私の周囲も変化する。
つまりは、人間関係。
それまで桃子の友達だった私は、井沢さんグループに【昇格】したんだ。
だから桃子は、私を見てもなんら無反応だった。
ギョッとしたのは、私が話しかけたからだ。友達でもなんでもない私が、いきなり話しかけたから、びっくりして教室を出て行った。
もしそうじゃないなら、二重まぶたにした私に詰め寄ってくるはず。
私自身のランクが上がり、付き合う友達のレベルも上がった__。
桃子が、足早に私の前を横切った。
いつもなら2人でゲーセンにでも寄るのだが、1人で帰っていく。
「あっ__」
「渚、カラオケ行くでしょ?」
井沢さんに誘われ、思わず伸ばしかけた手を引っ込める。
桃子には悪いが、私は変わった。
友達を選べるほどに。
そして__。