あなたの命、課金しますか?


遊園地にて。


私は目一杯、オシャレをしていた。


だって、三鷹くんにハグされるんだ。おかしな格好はできない。


桜庭さんも、美奈も優衣も、それぞれが着飾っている。三鷹くんたち男子も、いつもの学生服やユニフォーム姿とは違い、大人っぽい印象だった。


私たち女子は4人、男子も4人で必然的にカップルとなる。


もちろん、三鷹くんは桜庭さんの隣だ。


私の横には、サッカー部の南くん。隣のクラスだけれど、南くんのことは知っている。さすがゴールキーパーとあって、まだ中3なのに身長が180cmに近い。


「渚って呼んでいい?」


親しげに話し掛けてくる南くんは、悪い印象はなかった。


でも、私の目には前を行く三鷹くんの背中しか写っていない。


と突然、三鷹くんが振り返った。


「葉月」


手招きされる。


急いで駆け寄ると、いきなりいきなりジェットコースターに乗ると言う。絶叫マシーンが苦手な桜庭さんの代わりに、私が隣に乗ることになった。


「マジでワクワクする‼︎」


コースターがゆっくり空に向かって登る途中で、三鷹くんは子供のようにはしゃぐ。


「怖くないの?」


「なんだよ、葉月、こえーの?」


「こ、怖くない‼︎」


「んじゃ、手を上げたまま乗ろうぜ‼︎」


そう言って、三鷹くんは私の腕を掴んだ。


そのまま両手を上げる体勢で、一気に下る。


悲鳴を上げながらも私は、三鷹くんの手を絶対に離しはしなかった_。




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