あなたの命、課金しますか?


__きた。


とうとう、きた。


起死回生の大逆転だ。


スマホを両手で挟み込み、胸に押し当てる。


これは間違いようのない、完璧な願い事。


【5年】を差し出せば、私の1番の望みを叶えることができる。


「もう、裕也のいじわるー‼︎」


優衣が猫なで声で絡みつく。


一体、どんな神経をしているんだ?


朋美が側に居るというのに。友達の別れたばかりの彼氏に甘えるなんて、私にはできない芸当だ。それをやってのける根性は大したものだとは思うが。


それに__朋美もどうして文句を言わないのだろう?


泣いていたのはその日だけで、もう三鷹くんが居ないものだという感じだ。別れたとはいえ、その成り行きまでは分からない。どうして別れたのか、どちらが切り出したのか?


まぁ、なんにしろ、優衣の天下はもう終わる。


私が取って代わるから、三鷹くんの隣の席を。


だから残念だったわね。せいぜい、今のうちに味わっておくといい。


私がクリックするまでの命だけどね。


ほくそ笑んだ私は【三鷹裕也と付き合える】に、静かに触れた__。


「ん?」


なぜか弾かれてしまった。


もう一度、今度はしっかり指先を押し当てる。



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