プリティ・プリティ
顧問の平松先生が、神妙な顔でキャスト発表をする。

私たち一年生の、初舞台のチャンス。


全員がキャスト希望ではない。
でも、音響や照明の希望者だって、心の何処かでは舞台に立ちたいと思っている。
暗黙の了解。



「主役の葵。…菅原芽衣子」

マジか…やっぱり…



先輩たちの溜め息。

わかってた。




「ヒーローの徹。………竹内麻里奈」

「マジで!!?平松先生、マジっすか!?」




「部長と副部長と、俺で決めたことだ。練習はいつも通り徹底する。残りのキャストも、照明、音響、大道具、小道具、各自期待している。台本は、来週頭から立ち稽古、再来週には台本外すからな。読み込むように」



部室の空気がピリピリする。

一年生の文化祭。
私と、麻里奈の初舞台。




私の役、葵は、

難聴の女の子だ。
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