野獣に恋するヘタレちゃん
ど、どうしよう…。
なんて答えたら正解なんだろう。
私が慌てたらきっと『お前、何本気にしてんだよ』と楽しそうに笑ってくれるのかな?
それとも、『はい!喜んで!』と元気よく返事したら『居酒屋かよ』って笑ってくれる?
それとも…。
頭の中で色々な思案を巡らせていたら鎌田さんが起き上がる。私の後頭部に手を回して引き寄せた。
ま、まって?
な、何これ…。
このドッキリ、私のキャパを越えてます!
「無理です!!」
力を振り絞って鎌田さんの身体を突き飛ばして鞄を持って逃げ出した。
…もしかして、次の新しい企画が突然浮かんだ?
『ドッキリを色男がちんちくりんな女の子に仕掛ける』的な。
それで試したくなったとか?
だけど
『俺と付き合えよ』
あんなの、私には無理だよ。
キツすぎる。
ぼやける視界の中、走って、走って、走りまくった後、立ち止まって息切れする呼吸を整えた。
補佐の役割がそこまでと言うのなら、もう鎌田さんの補佐、外させて貰おう。
私情でこんな事許されるかは分からないけれど、今のままだとそのうち仕事に支障を来してしまう。
そう、心と頭を落ち着かせてから気が付いた。
…ここ、どこ?
辺りはまぶしい程に色とりどりのネオンが輝き、少し千鳥足で歩くサラリーマンや陽気な声があちこちから聞こえて来る。
ここって、いわゆる、飲屋街ってやつかな?
その辺のお店の名前をスマホで検索すれば最寄り駅が分かるかも。それとも向こうにあるコンビニで聞いた方が早いかな…。
辺りを見回していたら、目の前に男の人が二人現れた。
「ねえ一人?」
「俺たちと飲まない?」
パーカーにGパンのラフな格好。若者っぽいけど、よく見るとおっさんな感じもする…って、そんなのどっちでもいいけど。
渋谷さんみたいに29歳にして、可愛さ爆発の人もいるし。
「おねーさん、スタイルいいね!」
「そ、そうですか…?」
「うん、ケツとか超可愛い!」
お、お尻を褒められた!
長年の努力が…って、喜んでる場合じゃない。
「あ、あの、私、若者の方々に相手にしていただく程のものではないので…」
「そんな事無いよ!俺達相手にしたいな~」
両手をガシッと掴まれて、ゾクリと背中に悪寒が走った。
「ほ、本当にやめてください!私、帰りたいの!」
「ちょっとだけだよ、ね?楽しい事しよ?」
だ、誰か…
誰か、助けて!!!
必死でもがきながら思った。
こんな事なら逃げ出さないで鎌田さんに『私はあなたが好きです。だから思わせぶりはやめてください』とハッキリ言えば良かった。
いつもそう。肝心な事を恐くて言えなくて…。
心底後悔の念に駆られて再びぼやけた視界が急に暗くなった。
「…楽しい事ってなんだよ。」
おどろおどろしいまでの地を這う様な低い声に、私の手を掴んでた二人組が気圧されて怯む。
一度の瞬で少し視界がクリアになって見えたもの。
「俺の女に手ぇ出してんじゃねぇよ。」
こめかみに血管を浮かばせ、瞳をぎらつかせながら拳をボキボキとならして、目の前に立つ鎌田さんの姿。
.
なんて答えたら正解なんだろう。
私が慌てたらきっと『お前、何本気にしてんだよ』と楽しそうに笑ってくれるのかな?
それとも、『はい!喜んで!』と元気よく返事したら『居酒屋かよ』って笑ってくれる?
それとも…。
頭の中で色々な思案を巡らせていたら鎌田さんが起き上がる。私の後頭部に手を回して引き寄せた。
ま、まって?
な、何これ…。
このドッキリ、私のキャパを越えてます!
「無理です!!」
力を振り絞って鎌田さんの身体を突き飛ばして鞄を持って逃げ出した。
…もしかして、次の新しい企画が突然浮かんだ?
『ドッキリを色男がちんちくりんな女の子に仕掛ける』的な。
それで試したくなったとか?
だけど
『俺と付き合えよ』
あんなの、私には無理だよ。
キツすぎる。
ぼやける視界の中、走って、走って、走りまくった後、立ち止まって息切れする呼吸を整えた。
補佐の役割がそこまでと言うのなら、もう鎌田さんの補佐、外させて貰おう。
私情でこんな事許されるかは分からないけれど、今のままだとそのうち仕事に支障を来してしまう。
そう、心と頭を落ち着かせてから気が付いた。
…ここ、どこ?
辺りはまぶしい程に色とりどりのネオンが輝き、少し千鳥足で歩くサラリーマンや陽気な声があちこちから聞こえて来る。
ここって、いわゆる、飲屋街ってやつかな?
その辺のお店の名前をスマホで検索すれば最寄り駅が分かるかも。それとも向こうにあるコンビニで聞いた方が早いかな…。
辺りを見回していたら、目の前に男の人が二人現れた。
「ねえ一人?」
「俺たちと飲まない?」
パーカーにGパンのラフな格好。若者っぽいけど、よく見るとおっさんな感じもする…って、そんなのどっちでもいいけど。
渋谷さんみたいに29歳にして、可愛さ爆発の人もいるし。
「おねーさん、スタイルいいね!」
「そ、そうですか…?」
「うん、ケツとか超可愛い!」
お、お尻を褒められた!
長年の努力が…って、喜んでる場合じゃない。
「あ、あの、私、若者の方々に相手にしていただく程のものではないので…」
「そんな事無いよ!俺達相手にしたいな~」
両手をガシッと掴まれて、ゾクリと背中に悪寒が走った。
「ほ、本当にやめてください!私、帰りたいの!」
「ちょっとだけだよ、ね?楽しい事しよ?」
だ、誰か…
誰か、助けて!!!
必死でもがきながら思った。
こんな事なら逃げ出さないで鎌田さんに『私はあなたが好きです。だから思わせぶりはやめてください』とハッキリ言えば良かった。
いつもそう。肝心な事を恐くて言えなくて…。
心底後悔の念に駆られて再びぼやけた視界が急に暗くなった。
「…楽しい事ってなんだよ。」
おどろおどろしいまでの地を這う様な低い声に、私の手を掴んでた二人組が気圧されて怯む。
一度の瞬で少し視界がクリアになって見えたもの。
「俺の女に手ぇ出してんじゃねぇよ。」
こめかみに血管を浮かばせ、瞳をぎらつかせながら拳をボキボキとならして、目の前に立つ鎌田さんの姿。
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