異邦人
「いえ、なんでもないです。ところでどうしたんですか?」
「あ、そうそう。今日って内田さんいないの?」
「今、外出中なんです」
「あーそうなんだぁ。どうしようかな」
「どうしたんですか?何かあったんですか?」
「あー彼に希望の検査時間聞かれてて、それが決まったから伝えようと思ったんだけど・・・」
「それくらいでしたら俺、税関に言っておきますので!」
「あ、本当に!?助かるわ!明日の15時位でお願い!」
「承知しました」
「ありがとう!」
木原さんは要件だけ伝えるとすぐに自分の仕事に戻ってしまった。もっと話かけてくれるものだと思ったいたがあまりにもあっさり行ってしまったので少し寂しい気もした。でも、忙しいのだろうし今度二人っきりで会えるのだからその時に色々と彼女の話が聞ければ良いかと思った。

木原さん。綺麗で面白い人という以外に俺は彼女のことを良く知らない。普段は何をしてるんだろう。独身だし合コンとか婚活パーティーとか行っているのだろうか。きっとモテてるんだろうな。それとも女子だけで遊ぶのか。お酒は良く飲む方か。好きな人はいるのか。こんなこと聞いたら木原さんに好意を持ってるってことが気づかれるだろうか。そう思うってことは俺は彼女のことが好きなのだろうか?まだ、良くわからない。けれど彼女のことがもっと知りたい、そう思った。
< 14 / 48 >

この作品をシェア

pagetop