異邦人
彼女が案内してきたところは東京の夜景が見渡せる高層フロアのフレンチレストランだった。普段俺が行かないような大人な高級感が漂うレストランであったため尻込みしそうになった。
「木原さんって普段からこういう場所で食事するんですか?」と小声で聞くと「いや?今日は特別だからだよ」とサラッと言って案内された4人がけの席に座った。向かい合って座ると木原さんは「はい」と言って俺に灰皿を渡してきた。俺は、軽くお礼を言って灰皿を受け取るとタバコを吸い始めた。
「ふぅ~・・・」緊張していたこともあり、タバコを吹かすと一気に身が軽くなったような開放感を感じた。タバコの灰を落とし、木原さんの方を見上げると彼女は俺を見つめていたので俺は思わずむせ返った。
「大丈夫?」
「大丈夫ですけど。何、見てるんですか?」
「いや・・・色っぽい顔して吸ってるなぁって思って」
「え?」
「なんかね、こうやって吸ってたよ!」と言って俺の表情を―本人は無意識ではあるが―真似たかのように目を細く伏し目がちに色っぽい顔をして、ふぅ~っと唇をとんがらせてタバコを吹かす仕草をしだした。その妖艶な表情に不意にドキッとして、思わず見とれてしまった。またやらないかなぁと思ったがやらなかった。
「なんか、タバコ吸う人って色っぽい顔して吸うよね。なんでだろう」
「なんでだろうって分からないですけど。あ、木原さんも吸えば良いじゃないですか。俺、ライター貸しますんで」
「いや、私、タバコ吸わないのよ」
「え!?吸わないんですか?」
それは少し意外だった。化粧も割と濃く、髪色も明るいため普段から吸ってるのかと思っていた。俺は、タバコの火を消すと彼女を見上げた。今度は「何?」と彼女が聞いてきた。「なんで俺を誘ったんですか?」「え?」彼女は少し考えてから「あぁ、だから仲良くなりたいからよ」と応えた。「仲良くって。俺のどこか気に入ったんですか?」と聞くとタイミングが悪くアペリティフが届いたので「まずは乾杯しましょ」と彼女に先手を打たれてしまった。
前もって彼女がディナープランを立てていたのか次第に料理が運ばれてきた。彼女は前菜を食べ始めると「ところで増田くんは、仕事の方はどうなのよ」と聞いてきた。
「あーまー大変ですよ。どこも同じかと思いますけど」
「木原さんって普段からこういう場所で食事するんですか?」と小声で聞くと「いや?今日は特別だからだよ」とサラッと言って案内された4人がけの席に座った。向かい合って座ると木原さんは「はい」と言って俺に灰皿を渡してきた。俺は、軽くお礼を言って灰皿を受け取るとタバコを吸い始めた。
「ふぅ~・・・」緊張していたこともあり、タバコを吹かすと一気に身が軽くなったような開放感を感じた。タバコの灰を落とし、木原さんの方を見上げると彼女は俺を見つめていたので俺は思わずむせ返った。
「大丈夫?」
「大丈夫ですけど。何、見てるんですか?」
「いや・・・色っぽい顔して吸ってるなぁって思って」
「え?」
「なんかね、こうやって吸ってたよ!」と言って俺の表情を―本人は無意識ではあるが―真似たかのように目を細く伏し目がちに色っぽい顔をして、ふぅ~っと唇をとんがらせてタバコを吹かす仕草をしだした。その妖艶な表情に不意にドキッとして、思わず見とれてしまった。またやらないかなぁと思ったがやらなかった。
「なんか、タバコ吸う人って色っぽい顔して吸うよね。なんでだろう」
「なんでだろうって分からないですけど。あ、木原さんも吸えば良いじゃないですか。俺、ライター貸しますんで」
「いや、私、タバコ吸わないのよ」
「え!?吸わないんですか?」
それは少し意外だった。化粧も割と濃く、髪色も明るいため普段から吸ってるのかと思っていた。俺は、タバコの火を消すと彼女を見上げた。今度は「何?」と彼女が聞いてきた。「なんで俺を誘ったんですか?」「え?」彼女は少し考えてから「あぁ、だから仲良くなりたいからよ」と応えた。「仲良くって。俺のどこか気に入ったんですか?」と聞くとタイミングが悪くアペリティフが届いたので「まずは乾杯しましょ」と彼女に先手を打たれてしまった。
前もって彼女がディナープランを立てていたのか次第に料理が運ばれてきた。彼女は前菜を食べ始めると「ところで増田くんは、仕事の方はどうなのよ」と聞いてきた。
「あーまー大変ですよ。どこも同じかと思いますけど」