異邦人
「い、いや帰りましょう!俺も帰るとこだったんですよ」と言うと俺は後ろを振り返った。周りのみんなは呆然として俺たちを見ていた。「もしかしてマッスーが言ってた会社の先輩って・・・」と佐々木が何か言おうとしてるのを遮り「悪い!俺、会社の人と帰るわ!」と言ってみんなに詫びた。
前田さんは敵対心を抱くような目で、また長谷裕二は食い入るような目で木原さんを見ていたけど彼女はなんとも感じていないような余裕の表情を浮かべていた。俺がみんなに別れの挨拶をすると彼女は「終わった?」と笑顔で言っていきなり俺の左腕に抱きついてきた。
「え!?」
彼女はそのままの状態で歩き出すと後ろを振り返り「すいません!今日は増田くんを借りていきます!」とみんなに言った。俺もみんなも呆気にとられた状態だったが彼女は全く気にしていないようだった。みんなが見えなくなるところまで来ると彼女は腕を外し俺を開放した。
「じゃぁ、私は寄りたいところがあるんでこれで」
「え?一緒に帰るんじゃないんですか?」
「いや?たまたま増田くん見かけて困ってるようだったから助けただけだよ」
「え?」
「じゃ、お疲れ」そう言うと彼女は俺を置いて駅の方に向かって歩き始めた。俺はそのまま行き場を失い立ち止まっていたが暫くして俺も駅に向かい歩き始めた。


その夜、俺はなかなか寝付けなかった。

「え?じゃぁ、その時に抱くのか?」  
高橋が言った言葉が頭の中で反芻していた。「そんなこと出来る訳ないだろっ」俺は苦し紛れに呟くと布団に抱きつき寝返りを打った。俺は恐れていたあの時の続きを想像しようと試みた。もし、俺が木原さんをホテルに連れて来たら、の続きだった。
ベッドに腰掛けた彼女は俺を流し目で見上げると「隣に座りなよ」と言って彼女はポンポンと左手でベッドを軽く叩いた。俺が座ると彼女は俺の方を向いた。しばらく俺を見つめると彼女の優しい手が俺の頬に触れた。俺が驚いて彼女の顔を見ていると木原さんはいきなり顔を近づけ俺の唇にふれた。最初は軽くだけだったが次第に激しさを増して俺も彼女と舌を絡め始めた。唇を離し彼女を至近距離で見ると彼女は頬を赤らめ少女のような上目遣いで俺を見てきた。俺はたまらなくなって彼女の着ていたシャツのボタンを外し、脱がし始めた。白いキャミソールの中で隠れるように朱い下着が透けて見えた。そのまま俺は彼女の白い膨らみに顔を近づけた。ふわっとした甘い花の香りともちっとした柔らかさ、それだけで愛おしくなった。彼女の履いていたスカートとタイツを脱がすと隠れていた朱い下着が顔を出した。白い肌に朱い色が良く映えた。彼女の顔、躰、色、全てが艶やかで妖艶な少女のように思えた。身につけてるもの全てを奪ったら、どんなに気高く美しい罪が待っているんだろうと興奮した。
悔しいけど自分の体の中心がそそり立つのを感じた。木原さんを想像するだけで俺はどうにかなりそうだった。このまま続きをしようかどうか考えたが意を決して想像することにした。
彼女の丸みを帯びた膨らんだ場所にふれた。既に露に濡れて蜜のような甘い香りを放った場所にふれると彼女は恥ずかしそうに、けれど気持ちよさそうに色っぽい声を上げて感じていた。俺はガマンができなくなり彼女をうつ伏せに寝かせると少し腰を浮かせ自分のものと遂に交わった。上から彼女の白く美しい頼りない背中を見下ろすと、普段の先輩と後輩の関係が逆転したように思え、彼女を上から支配している感覚が更に俺の興奮を煽った。悔しいけど俺は数分間の甘美な夢を見て身も心も果てたのだった。
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