異邦人
社員旅行当日となった。黒川係長はマネージャーを含め年配の方たちを乗せて車で現地に向かった。俺ら若者達はというと若いのだから電車で行けと言われたため木原さんも含め東京駅で待ち合わせをするとみんなで新幹線に乗った。
俺は、佐藤くんと同席になり木原さんは橋本と同席になるのだと思っていたが「たまには男女で座ろうよ」と木原さんが言ってきたので俺の隣に木原さんが座ることとなった。 俺は妥協した体を装っていたが内心は超が付くほど嬉しかったし、ドキドキした。
木原さんは旅行前に髪の毛を黒くしていた。今までは金髪でフランス人形のようだったが、黒髪の彼女は日本人形のようで、艶かしくもあり美しくもあった。
窓際に座った彼女が俺の方を向くと「私、昨日なかなか眠れなかったから寝ちゃうかも」と言ってきた。「あぁ、良いっすよ」と応えた俺だったが折角の二人っきりの時間を睡眠に充てるのかと思ったら少し残念に思った。数分経って本当に彼女は眠りに就いた。俺が携帯のゲームをしている間にふと彼女の方を振り向くと窓に頭を傾けて寝入っている彼女の寝顔が目に飛び込んできた。
艶のある黒髪、しっとりとした白い肌、長いまつげ、高い鼻筋、朱く湿った唇。その全てが美しくて、俺にもしも理性がなかったらその愛らしい唇を躊躇なく奪っていただろうと思った。彼女は、表情を少し歪ませると頭をゴンっと窓にぶつけた。まるで何もなかったかのように寝続けているが俺は彼女の頭にそっと手を置くと自分の肩に彼女の頭を傾けさせた。
彼女の寝息、花の香り、甘い重みが俺の左腕や理性を痺れさせたがそれでもこの緊張感をずっと味わっていたいと思った。すると、程なくして彼女の手がぼとりと音を立てて彼女の太ももの上に落ちた。白くて小さな可愛い手だと思った。この手に触れられたらどんなに良いだろうと思った。もしも、これが俺たちだけの旅行だったらどんなに幸せに感じただろうと思った。舞い上がりそうになる心を必死に押さえると俺も目をつむり腕を組んで眠りに就いた。
俺は、佐藤くんと同席になり木原さんは橋本と同席になるのだと思っていたが「たまには男女で座ろうよ」と木原さんが言ってきたので俺の隣に木原さんが座ることとなった。 俺は妥協した体を装っていたが内心は超が付くほど嬉しかったし、ドキドキした。
木原さんは旅行前に髪の毛を黒くしていた。今までは金髪でフランス人形のようだったが、黒髪の彼女は日本人形のようで、艶かしくもあり美しくもあった。
窓際に座った彼女が俺の方を向くと「私、昨日なかなか眠れなかったから寝ちゃうかも」と言ってきた。「あぁ、良いっすよ」と応えた俺だったが折角の二人っきりの時間を睡眠に充てるのかと思ったら少し残念に思った。数分経って本当に彼女は眠りに就いた。俺が携帯のゲームをしている間にふと彼女の方を振り向くと窓に頭を傾けて寝入っている彼女の寝顔が目に飛び込んできた。
艶のある黒髪、しっとりとした白い肌、長いまつげ、高い鼻筋、朱く湿った唇。その全てが美しくて、俺にもしも理性がなかったらその愛らしい唇を躊躇なく奪っていただろうと思った。彼女は、表情を少し歪ませると頭をゴンっと窓にぶつけた。まるで何もなかったかのように寝続けているが俺は彼女の頭にそっと手を置くと自分の肩に彼女の頭を傾けさせた。
彼女の寝息、花の香り、甘い重みが俺の左腕や理性を痺れさせたがそれでもこの緊張感をずっと味わっていたいと思った。すると、程なくして彼女の手がぼとりと音を立てて彼女の太ももの上に落ちた。白くて小さな可愛い手だと思った。この手に触れられたらどんなに良いだろうと思った。もしも、これが俺たちだけの旅行だったらどんなに幸せに感じただろうと思った。舞い上がりそうになる心を必死に押さえると俺も目をつむり腕を組んで眠りに就いた。