異邦人
どうやって木原さんと別れたのか覚えてなかった。ただ、気づいたら俺は橋本との待ち合わせ場所に来ていた。橋本は俺に気づくと小動物のようにパタパタと小走りしながら俺に近づいてきた。
「ごめんね、遅くなって。わ!酒臭っ・・・。飲んでたな?」と可愛く言われ、「あぁ、まぁちょっとな」と応えた。橋本に案内されたのもbarだった。俺はずっと橋本の話を上の空で聞いていた。ずっと頭の中で木原さんに言われた「私は増田くんのこと好きじゃない」というセリフが反芻していた。その言葉が俺の頭の中をかき乱し俺を無気力にさせていた。
「今日、私の誕生日だからどうしても増田くんに会いたかったの」
「へー、そうだったんだ。おめでとう!」
「それでね、私増田くんに言いたいことがあって・・・」
「なに?」
「私、増田くんのことが好きなの」
「え!?」
「気づいてなかった?」
「ちっとも・・・」
「もう!本当ににぶい!」
「ごめんごめん。でも、そっか・・・。なんか嬉しいな」
突然の告白。びっくりしたけど人に好かれてることはやっぱ嬉しいなと思った。
すると急に酔ったのか橋本が俺の左腕に頭をコツンと置いて寄り添ってきた。
「私、酔っちゃったみたい・・・。こんな特別な日はずっと増田くんと一緒にいたいな」
そう言われて舞い上がらない奴はいないだろうと思った。さほど興味もなかった女子に好かれてると知ったとき世の男たちだって正直嬉しくなると思う。俺だってその内の一人だった。好きだった人に振られて傷心していた今の俺は酒の酔いも合わさって完全にどうかしてた。彼女の方を見ると橋本の上目遣いがいつも以上に可愛く思えた。だから、俺は彼女の唇に触れた。最初は軽く、次第に欲望が抑えられなくなって俺たちはその夜を共にした。たとえ、橋本に申し訳ないと思っても木原さんに自分がなんとも思われてなかったことを知って傷ついた心を癒すには、愛しい人を一時でも忘れるにはこの偽りの狂った甘い交わり以外に他になす術が無かったからだ。
「ごめんね、遅くなって。わ!酒臭っ・・・。飲んでたな?」と可愛く言われ、「あぁ、まぁちょっとな」と応えた。橋本に案内されたのもbarだった。俺はずっと橋本の話を上の空で聞いていた。ずっと頭の中で木原さんに言われた「私は増田くんのこと好きじゃない」というセリフが反芻していた。その言葉が俺の頭の中をかき乱し俺を無気力にさせていた。
「今日、私の誕生日だからどうしても増田くんに会いたかったの」
「へー、そうだったんだ。おめでとう!」
「それでね、私増田くんに言いたいことがあって・・・」
「なに?」
「私、増田くんのことが好きなの」
「え!?」
「気づいてなかった?」
「ちっとも・・・」
「もう!本当ににぶい!」
「ごめんごめん。でも、そっか・・・。なんか嬉しいな」
突然の告白。びっくりしたけど人に好かれてることはやっぱ嬉しいなと思った。
すると急に酔ったのか橋本が俺の左腕に頭をコツンと置いて寄り添ってきた。
「私、酔っちゃったみたい・・・。こんな特別な日はずっと増田くんと一緒にいたいな」
そう言われて舞い上がらない奴はいないだろうと思った。さほど興味もなかった女子に好かれてると知ったとき世の男たちだって正直嬉しくなると思う。俺だってその内の一人だった。好きだった人に振られて傷心していた今の俺は酒の酔いも合わさって完全にどうかしてた。彼女の方を見ると橋本の上目遣いがいつも以上に可愛く思えた。だから、俺は彼女の唇に触れた。最初は軽く、次第に欲望が抑えられなくなって俺たちはその夜を共にした。たとえ、橋本に申し訳ないと思っても木原さんに自分がなんとも思われてなかったことを知って傷ついた心を癒すには、愛しい人を一時でも忘れるにはこの偽りの狂った甘い交わり以外に他になす術が無かったからだ。