イジワルな彼は私を溺愛しています

脅し

「何ですか?」

生徒会室のソファーに座って向かいに座っている中島先輩に言った。

とげとげしい口調になるのはしょうがない。

あの女子からの冷たい視線を思い出して内心びくびくしているのだから。

「寝たら?」

「明日からの学校生活を考えたら寝れません」

「なんだそれ」

「中島先輩はよくこんな性格で人気者になれますね」

「いつもは皆の王子様だ」

中島先輩はコンビニのパンの袋を開けながら言った。

「そうですか。それで、用件はなんですか?早く教室に帰って皆の誤解を解きたいんです」

「誤解?」

「私と中島先輩が親しい関係ではないということです。それで、用件は」

「俺と一緒に住んで」

「…はあ?」

言ったことのない言葉が口からでた。

「これが用件」

「無理です」

「却下。学校中の女敵にまわしてもいいって言うならいいけど」

「なっ…」

卑怯者。

「いじめられたくないだろ」

もちろん。

「一緒に住むだけ」

“だけ”って…。

「嫌です」

「却下」

「何ですかそれ。却下って言われても無理だし嫌です」

「それなら、明日からいじめられる?」

「私も中島先輩の本性を皆に言いますよ」

「じゃあ試してみれば?皆は俺かお前、どっちの言うことを信じるのか」

100%中島先輩でしょうね。

「…わかりました。でも、一緒に住むことはできません」

「お前はいじめられたいの?」

「そんなわけないでしょうが。ですから、勝負しましょう。私が勝ったら一生私に関わらない。中島先輩が勝ったら一緒に住みます」

「何で勝負するわけ」

「100年間中島先輩が私に話しかけなかったら中島先輩の勝ちっていうゲームはどうでしょう」

「……そんなにいじめられたいのか。お前は生粋のドMだな」

中島先輩のオーラは真っ黒だ。
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