イジワルな彼は私を溺愛しています
【放課後クラスの出し物の準備があるので遅れる。ご飯は適当に買って食べて】
授業中、先生がいない間に和海にLINEをいれた。
すぐに既読になって返ってくる。
【どこでやるの】
【講堂。ダンスの練習】
【見に行く】
【ダメ。皆集中できなくなる。本番に見て】
【分かった。そのかわり、今日のふろ一緒ね】
ふろ、フロ、風呂……、
「はあ?!」
思わず大きな声をあげてしまった。
「水沢さん。なんですか」
いつのまにいたのか、数学の先生に注意される。
「すいません」
小さく頭を下げた。
「この問題解いてください」
先生が黒板をチョークでたたきながら言った。
めんどくさいがしかたない。私が席を立とうとしたときに机の上にメモが隣から投げられた。
『声、おもしろすぎ』
ムっとしてメモを握りつぶした。
「水沢さん?」
「ああ、すいません」
私は今度こそ立ち上がり、黒板の前に行った。
「……正解です」
「おおー、水沢さんってすげーな」
「あの問題めっちゃ難しいのに…」
私は賞賛の声を聞くことなく頭の中は今日のお風呂のことでいっぱいだった。