イジワルな彼は私を溺愛しています
そっと立ち上がった瞬間…

「えっ……?」

誰かに押されて階段から落とされた。

落ちるっっと思ってぎゅっと目をつぶった。

「……へ?」

いつまでたっても痛みや衝撃がない。

おそるおそる目を開けると、宮沢君が私の体をささえていた。

反射的に離れる。

「ひどくない?たすけてあげたのに」

「ああ…どうも」

「それだけ?」

「もちろん、感謝していますよ」

棒読みになっていないことを祈る。

それよりも聞きたいことが。
なるべく、自然に。

「そういえば、さっきは紗知に手伝ってもらって」

「ああ」

なんか、素っ気ない。
なら、違う方向から攻めるか。

「宮沢君は彼女とかいらないの?」

「ほしいよ」

「どんなタイプが好き?」

「なんで、そんなこと聞くわけ?」

「……………なんでもない」

この質問には答えられない。紗知の問題だ。

「あっそ」

宮沢君はそう言って私に近づいた。

チュ

「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………は?」

私はがそれをキスだと認識したのは宮沢君の姿が見えなくなってからだった。
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