イジワルな彼は私を溺愛しています
「あの、会長はいますか?」

生徒会室には翔先輩しかいなかった。

「へ?もうカズ帰ったけど」

「え?分かりました」

和海が私に何も言わずに帰るなんておかしい。

なんかあるのだろうか。

「あれ?開かない」

家に帰って見たが、ドアが開かない。
私が帰るときは和海がいつもいたから、私は合い鍵を持っていない。

「どうしよう……」

もしかして、事故にでもあったんだろうか。
和海はお金持ちだから誘拐されたとか。

考えるうちに心配になってきた。

電話をしてみるがつながらない。

「もしかして、本当に」

事故にでもあったのかもしれない。
和海が今まで私に何も言わずに帰ることなんてなかったし。
このまま帰って来なかったら………。

私はそう思った瞬間、カバンを持って走り出した。
何度電話をかけても繋がらない。
焦りが募っていく。

私は行くあてもなく、


ただ走った。
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