イジワルな彼は私を溺愛しています
*side 和海

「和海ぃ」

やっぱりな。あのおっさんは有紀に酒を飲ませたらしい。

俺は人のいない中庭に有紀を連れて座った。

有紀がmizusawaグループの令嬢だと知って俺がどれほど驚いたか。

しかも、親父に見合いするから期限うんたらかんたらは、俺がだまされてたってことじゃねぇか。

でも、有紀が見合い相手で良かった。
俺のことを見ずに料理ばっか見るのはムカつくけど。

って、俺なに料理にまで妬いてんだよ。

「和海ぃ」

有紀が俺を呼んだ。

そのトロンとした目でこっちを見るな。
マジでキスしたくなる。

「もう、寝てろ」

「ん、、いやぁ」

有紀は俺に寄りかかって嫌々と首を振った。

「嫌じゃない」

俺を殺す気か。
なるべく化粧は壊したくないんだよ。

「和海ぃ。私もねぇ、惚れ直したよぉ」

「っ//」

有紀は酒が入ると素直になるのか。
これはマジでヤバい。

「有紀、だっまてろ」

「いやぁ。私ねぇ、和海と離れたくないよぉ」

いきなり涙目になるな。
理性が崩壊しそうだ。

「分かったから。離れるなんていってないだろう」

「私ねぇ和海と離れて寂しかったのぉ」

「あーもう、分かったから話すな」

寂しかったとか、嬉しすぎる。

「ねぇ、キスしてぇ」

キスしてって有紀から初めて言われた。

「っ//」

「顔真っ赤ぁ」

「うるさい//」

「ねぇ、キス」

「化粧が崩れるだろうが」

「いいのぉ。早くキス」

有紀は俺の袴の襟をつかんでキスを迫る。

「ダメだ」

キスしたらそこで終わらせられる気がしねぇ。

有紀の手をつかんで襟から手を離させた。

「なんでぇ。もう!」

有紀は俺の襟をつかんで顔を近づけるとふれるだけのキスをした。

「やったぁ。じゃあ、おやすみぃ」

有紀は俺を半殺しにして眠った。
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