ツンデレ黒王子のわんこ姫
二人が降り立った駅から芽以の実家までは歩いて10分くらいの距離であった。
タクシーを利用するほどの距離ではないが、女性一人で歩いて帰るには閑静すぎるようでもあった。
「明日も電車に乗るのか?」
「たぶん、そうなると思います」
健琉は、満員電車だけでなく、行き帰りのこの通勤経路ですら心配でならないと思った。
世の自立した女性は、このような通勤形態をとり、なんの問題もなく立派に社会生活を送っていることはわかっている。
しかし、健琉は芽以が心配でならなかった。
"なんで芽以の父親は、突然娘を安全な檻から出して、いきなり谷底に突き落とすようなことをするんだ"
その意図を知りたかった。
そんなことを健琉が考えている間、
二人はいつの間にか手を繋いで、無言のまま、芽以の実家に向かって歩き続けていた。
夜風が、二人の距離を近づける。
景色を眺めながらゆっくりと歩いて、
芽以の実家に到着したのは20時頃だった。
健琉が玄関まで芽以を送りと届けると、健琉の来訪を知っていたかのように、芽以の父・剣士が待ち構えていた。
「すまなかったね、健琉くん。芽以を送ってくれてありがとう。食事はまだだろう?上がって夕食を食べていってくれたまえ」
決して強制するような口調ではないものの、断る選択肢は健琉にはないように思えた。
「ありがとうございます。お言葉に甘えてご馳走になります」
健琉は芽以と連れ添って、客間に案内された。
タクシーを利用するほどの距離ではないが、女性一人で歩いて帰るには閑静すぎるようでもあった。
「明日も電車に乗るのか?」
「たぶん、そうなると思います」
健琉は、満員電車だけでなく、行き帰りのこの通勤経路ですら心配でならないと思った。
世の自立した女性は、このような通勤形態をとり、なんの問題もなく立派に社会生活を送っていることはわかっている。
しかし、健琉は芽以が心配でならなかった。
"なんで芽以の父親は、突然娘を安全な檻から出して、いきなり谷底に突き落とすようなことをするんだ"
その意図を知りたかった。
そんなことを健琉が考えている間、
二人はいつの間にか手を繋いで、無言のまま、芽以の実家に向かって歩き続けていた。
夜風が、二人の距離を近づける。
景色を眺めながらゆっくりと歩いて、
芽以の実家に到着したのは20時頃だった。
健琉が玄関まで芽以を送りと届けると、健琉の来訪を知っていたかのように、芽以の父・剣士が待ち構えていた。
「すまなかったね、健琉くん。芽以を送ってくれてありがとう。食事はまだだろう?上がって夕食を食べていってくれたまえ」
決して強制するような口調ではないものの、断る選択肢は健琉にはないように思えた。
「ありがとうございます。お言葉に甘えてご馳走になります」
健琉は芽以と連れ添って、客間に案内された。