ツンデレ黒王子のわんこ姫
目覚めた芽以は、その後、両親と面会を果たし、一泊入院することになった。
健琉は
"このまま芽以に付き添いたい"
と、芽以の両親に告げたが
『怪我がひどいのは健琉さんの方だから』
と、別室での一泊経過観察入院を勧められた。
健琉は、すでに会計を済ませていたので、芽以の部屋に簡易ベッドを借りて休むことにする。
何か症状が出ても、病院内であれば安心だろうという、病院側の配慮だった。
芽以と健琉が、ここまでの状況を話し終わると、
「明日の朝、運転手の真田を迎えに寄越す」
と言って、芽以の両親は帰っていった。
健琉の両親は、県外の取引先を回るために出張中であったので、健琉が電話で事の詳細を報告した。
父親は驚いていたが、
『明日、社に戻ったら、衛藤と岡島からも話を聞く。芽以さんのご両親には私からも電話で謝罪をしておくから、明日退院したら、二人でゆっくり社に顔を出しなさい』
と冷静に指示した。
健琉は、関係者への連絡が済むと、芽以が眠っている部屋に戻り、簡易ベッドに身体を横たえた。
案の定、寝ている間も腕や肩がひどく痛んだが、芽以の無事を確認したためか、健琉の心はなんとか落ち着きを取り戻していた。
翌朝、診察に来た医師の許可が出て、健琉と芽以は退院することになった。
二人で病院の玄関を出る。
新緑に太陽の光が射し込んで、健琉は一瞬目が眩みそうになった。
「健琉さん、大丈夫ですか?」
芽以は、健琉の右腕にそっと自分の腕を絡めると、心配そうに、顔を見上げて言った。
「こんなに小さなお前に寄りかかっても倒れるだけだと思うけど?」
健琉はニヤリ微笑んで、いつもの毒舌を復活させた。
「だけど,,,。柔順なわんこががいないと、俺のここがダメになるから、な?」
とギプスを巻いた左手で左胸を叩いた。
芽以が頬を赤らめると同時に、玄関前のロータリーに向かって白木家の黒い車が侵入してくるのが見えた。
健琉は、芽以をゆっくりと抱き寄せて言う。
「俺と結婚してくれるか?芽以」
芽以は、健琉を見つめ返して返事をする。
「はい、私は健琉さんだけの柔順なわんこですから」
迎えに来た真田が病院で見たもの。
それは、芽以の額にキスをする健琉と、それを受け止める芽以の幸せそうな二人の姿だった。
婚約者から、本当の恋人へ。
順番は逆だけど、ツンデレ黒王子と、柔順ワンコ姫の恋愛物語は、まだ始まったばかりである。
健琉は
"このまま芽以に付き添いたい"
と、芽以の両親に告げたが
『怪我がひどいのは健琉さんの方だから』
と、別室での一泊経過観察入院を勧められた。
健琉は、すでに会計を済ませていたので、芽以の部屋に簡易ベッドを借りて休むことにする。
何か症状が出ても、病院内であれば安心だろうという、病院側の配慮だった。
芽以と健琉が、ここまでの状況を話し終わると、
「明日の朝、運転手の真田を迎えに寄越す」
と言って、芽以の両親は帰っていった。
健琉の両親は、県外の取引先を回るために出張中であったので、健琉が電話で事の詳細を報告した。
父親は驚いていたが、
『明日、社に戻ったら、衛藤と岡島からも話を聞く。芽以さんのご両親には私からも電話で謝罪をしておくから、明日退院したら、二人でゆっくり社に顔を出しなさい』
と冷静に指示した。
健琉は、関係者への連絡が済むと、芽以が眠っている部屋に戻り、簡易ベッドに身体を横たえた。
案の定、寝ている間も腕や肩がひどく痛んだが、芽以の無事を確認したためか、健琉の心はなんとか落ち着きを取り戻していた。
翌朝、診察に来た医師の許可が出て、健琉と芽以は退院することになった。
二人で病院の玄関を出る。
新緑に太陽の光が射し込んで、健琉は一瞬目が眩みそうになった。
「健琉さん、大丈夫ですか?」
芽以は、健琉の右腕にそっと自分の腕を絡めると、心配そうに、顔を見上げて言った。
「こんなに小さなお前に寄りかかっても倒れるだけだと思うけど?」
健琉はニヤリ微笑んで、いつもの毒舌を復活させた。
「だけど,,,。柔順なわんこががいないと、俺のここがダメになるから、な?」
とギプスを巻いた左手で左胸を叩いた。
芽以が頬を赤らめると同時に、玄関前のロータリーに向かって白木家の黒い車が侵入してくるのが見えた。
健琉は、芽以をゆっくりと抱き寄せて言う。
「俺と結婚してくれるか?芽以」
芽以は、健琉を見つめ返して返事をする。
「はい、私は健琉さんだけの柔順なわんこですから」
迎えに来た真田が病院で見たもの。
それは、芽以の額にキスをする健琉と、それを受け止める芽以の幸せそうな二人の姿だった。
婚約者から、本当の恋人へ。
順番は逆だけど、ツンデレ黒王子と、柔順ワンコ姫の恋愛物語は、まだ始まったばかりである。