ツンデレ黒王子のわんこ姫

いざ出陣

「急に仕事が入りまして。無理を言って申し訳ありません」

四泊五日の予定が二泊三日になった。

もちろん、宿泊代は事前に払っていたので問題はないのだが、宿側の好意で、残りの二泊分は半額返金してくれた。

「お世話になりました」

「また、お揃いでおいでくださいね。それとこちらはお土産です」

女将は、旅館名物の限定プリンを積めた箱を芽以に渡した。

「ありがとうございます。プリン楽しみにしていたものですから、とても嬉しいです」

微笑んで手を繋ぐ健琉と芽以を、女将と支配人は笑顔で見送ってくれた。

「さてと、これからが戦場だな」

「戦場?」

小首を傾げる芽以の頭を健琉が撫でる。

「ああ、負けられない一戦だ」

タクシーから見える由布岳を眺めながら、健琉は迎え撃つ敵に向かって思いを馳せた。

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