スキって言って。
12月に入って10日が過ぎた。

私達といえば他のカップルより喧嘩の絶えないカップルだった

でも自分達の場合は喧嘩してもすぐに仲直りするような仲だった


喧嘩をして
『ほっといてよ!』
なーんて事を言っても、
彼は結局私の傍に来てくれる


何も言わずに抱きしめて
本当にずるい人だ。





今日もいつも通り彼の家に遊びに来ていた。
そして、喧嘩をした。
いつもなら一日の内に仲直りできるのに、
今日だけは何故かなかなか仲直りができなかった。


『ねぇ、聞いてる?ほんとになんなの?』

『お前こそなんなんだよ!もう俺に関わらないでくれ!』

『はぁ?関わらないでって別れたいって事?!?!』


いつもの喧嘩なのに、何かが違う。


『もう俺に関わるなって言ってんだよ!!!!』


一瞬彼が苦しそうな顔をしたようにも見えた


『はぁ。本当に呆れた。私もう知らないからね?』


そういって、立ち去ろうとする。


『そうか…』


あれ…?自分から関わらないでって言ったのに、
どうしてそんなに寂しそうなの…?


『優花、最後に一つ……』


消え入りそうな、弱々しい声で彼は言う


『俺が居なくなっても、頑張れよ』


…え?
…どういう、こと…?
上手く頭の中で処理ができない


『え、いや、あのさ…どういうこと?』


苦笑いで尋ねる


『来年の今頃には俺、ここに居ないから』


…ここに…居ない…?
うそ…冗談、だよね…


居ないの三文字が頭の中でぐるぐる回る


『もう、。冗談やめてよ!!』


平気なふりをして笑ってみせる
考えたくない。居なくなるなんて。


『冗談なんかじゃない、これは本当のことだ』


私は黙って俯く。
その様子を見てただ彼は一言。


『ごめん…』


居ても立っても居られなくなって
私は彼の家から走り出した。
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