甘い運命
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真面目に、卒倒するかと思った。
正気に戻ったのは、周りの女の子たちの黄色い歓声のお陰だ。
そして、刺すような視線がいくつも。
大丈夫ですよ、わかってます。
修一さんは、私を庇ってくれたんだ。
私が惨めな思いをしないように。
修一さんは、甘々モードのまま、手を繋いで私を車にエスコートした。
助手席に座って、膝の上でギュッと手を握った。
大丈夫、動じないこと。色んな意味で。
ふうと息をついて、落ち着こうとする。
修一さんが、運転席に乗り込むなり、頭を下げた。
「さっきはごめん。俺がふざけたから、都に嫌な思いさせた。」
「大丈夫ですよ。あんな風に言われるの、いつものことですし、慣れてます。
庇ってくださって、ありがとうございました。」
精一杯の笑顔を向けて、修一さんにお礼を言う。
修一さんは、何か言いたげな表情をしたけど、私は冗談を言うように続けた。
「それにしても、修一さんの『愛してる』は、破壊力抜群ですね!
女の子たちの黄色い歓声ったら!
私、役得ですねぇ。」
これは本当に思ったことだ。だから、心からの笑顔で言う。
「……そう?都はあれで絆されてくれるの?」
ふわりと笑って、修一さんも乗ってくれる。いつもの感じだ。
「だから、恐れ多いですって。色々聞こえてたでしょ?似合わないとかブスだとか。
私に対する世の中の評価なんて、そんなものですよ。
イケメンには美女って相場が決まってるんです」
「……そんな相場、いらないんだけど。」