甘い運命

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そういえば、アパートの前まで送ってもらったことはあったけど、私の部屋に来てもらうのは初めてだ。

修一さんを部屋に招き入れて、食事の支度をしながらふと思った。

珍しそうにキョロキョロと視線を動かす修一さん。
スープを暖めながら、珍しいものはありますかと聞いた。

「いや、……何だか安心する部屋だな。」
「そう言ってもらえて嬉しいですよ。また遊びに来て下さい。」

安心すると言ってもらえて嬉しかったので、私はそう答えた。
すると、修一さんはちょっと言葉に詰まった。
あれ?迷惑だったかな?と思ったところで、返事が聞こえた。

「…いいのか?また来ても」
「当たり前ですよ。私ばっかり修一さんのお部屋にお邪魔して、うちがダメとか不公平ですよね。」

出来上がったスープとハムエッグ、サラダとクロワッサンとコーヒーをテーブルに並べた。

「お待たせしました、召し上がって下さい。」
「ありがとう。うまそうだ。」

美味しそうにスープを飲む修一さんの様子を見て、ちょっと元気が出てきたかなと思って安心した。
思わずニコニコしていたらしい。修一さんが怪訝そうに聞く。

「都、何かいいことでもあった?」
「ん?特に何もないですが…何でですか?」
「いや、何だか嬉しそうだから」

そうなのかな?
考えながら、私は首を傾げる。

あっそうだ、いつもやられっばなしだし、ちょっとからかっちゃえ。

「うーん、強いて言うなら、修一さんの顔を朝から見れたことですかね?」

にっこり笑って答えてみる。
瞬間、修一さんの顔が真っ赤になった。
すぐそれを隠すように、顔をそらして、手を口元に持っていく。
へ?あれ?返し、なし?!まさか照れてる?
私は逆にびっくりして、固まってしまう。

「…都のくせに、生意気だぞ。」

どこかのいじめっ子の台詞だよ、それ、と心の中で突っ込んでいると、修一さんの手が伸びてきて、髪の毛をぐしゃぐしゃにされた。

「やめてくださいよー、何なんですかもう。」
「からかう都が悪い。」

ぶつぶつ言いながら髪の毛を元に戻していると、修一さんはいつものクール顔に戻って、すまして残りの朝食を食べきった。

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